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「新製品情報誌」2025年12月号掲載
資料請求No.1251201201

計測・試験・光学
検査・試験

〜微細なキズや凹凸、異物の検出は「目視検査」から「光学検査」の時代へ〜

光学検査技術

東芝情報システム株式会社
神奈川県川崎市川崎区日進町1-53

製造業の人手不足は年々、深刻化している。各社、デジタル変革(DX)や生産性向上などに取り組んでいるものの、まだ人手に頼る工程は少なくない。その一つに五感を使って品質をチェックする官能検査がある。例えば、光沢がある部品のキズや凹凸のチェックは、目視検査が主流。だが、検査員の熟練度によって合否判定にバラツキが生じたり、時間がかかったりすることが課題になっている。キズが微細になればなるほど目視できる人材が限られ、心身の負担が大きいため、なり手も不足している。
 精密な光学部品は、目視では難しいマイクロメートル単位(マイクロは100万分の1)のキズを検出することが求められる。しかし、光学部品を撮影し、画像処理する従来の撮像方法では、検出が難しいのが実情。これらの課題の解決手段として、東芝研究開発センターが開発したのが、散乱光検出技術「OneShotBRDF?」だ。■マイクロメートル単位のキズを色分けして可視化
 OneShotBRDFは、いわば光に色を付けてイメージセンサーに結像させる技術。被検物に照射した光がどのような角度で、どの程度反射するのかを表す指標であるBRDF(反射光の方向分布)により、レンズでとらえた正反射光と散乱光をカラーフィルターで色分けして可視化する。
 具体的には、特殊光学系を採用し、レンズとイメージセンサーの間に、同心円状に色分けした多波長同軸開口フィルターを置いている。例えば中心を青色、外側を赤色にしたフィルターの場合、被検物のキズがない部分は正反射光となり、虫眼鏡が太陽光を1点に集約する原理と同様、1点に集約されてフィルター中心の青色部分を透過する。一方、キズの部分は散乱光となり、外側の赤色部分を透過する。画像で見ると、青くなった被検物に、キズの形状が赤く浮かび上がる。
 2020年に米国で、21年に日本で特許を取得し、東芝情報システムが産業用途として実用化した。ガラス素材・パネル素材(薄型ディスプレー、シート等)・光学部品(プレート、フィルター等)の表面検査、金属系精密部品の研磨面や鏡面の検査などと、平面で光沢がある被検物の検査に適しており、適用のすそ野が広い。一例として、半導体のウエハは一般的にレーザーで検査しているが、欠陥検出エリアが数十?メートルのため、長時間を要している。OneShotBRDFに置き換えると、欠陥検出エリアが約12ミリメートル角と数百倍になるため、大幅に検査時間を短縮できる。
 東芝情報システムには現在、さまざまな業界のモノづくり企業から「自社装置に搭載できないか」「目視検査から脱却し、時間短縮や精度向上を図れないか」といった問い合わせが相次いでいる。サンプルで有効性などを確認後、ライセンス契約を結び、ソリューションに向けて伴走支援している。そして、こうした取り組みをカタチにしたのが、東芝テリーの表面探傷スコープ「SFD240305A?」だ。■新コンセプトのスコープが世界市場で高く評価されている
 この表面探傷スコープには、同社製の一体型CMOSカメラ「BU2409MCF」を搭載している。解像度は2455万画素、画素サイズは2・74?×2・74?メートル。インターフェースは「USB 5Gbps」で、高解像度の画像処理に適しており、パソコン接続も容易だ。光学ユニット部の測定視野は直径40ミリメートルで、最小で幅数十?メートルのキズを検知できる。画像の後処理が不要なため、そのままAI(人工知能)で合否判定できる。電源を入れたら即、経験がなくても扱える。
 24年10月にドイツ・シュトゥットガルトで開かれた世界最大級のマシンビジョン展示会「VISION 2024」に出展。優秀な製品に贈られる「VISION Award 2024」において、世界60社を超える製品群を勝ち抜き、「グランプリ」に輝いた。高性能であることはもとより、新コンセプトのユニークな製品として、世界市場で高く評価された。
 また、東海光学ホールディングスは、表面探傷スコープを内蔵した「レンズ外観検査装置」を製品化した。検査対象は透明レンズで、球面・非球面、凹・凸、メニスカスの形状、直径85ミリメートル以下に対応し、幅5?メートル程度のキズなどを検出できる。検査対象のレンズの下から照射し、光を透過させて表面のキズのほか、内部の異物なども検出できるのが特徴。特殊光学系により曲面レンズにも対応させた。
 現在、スカラロボットと組み合わせた検査システムを運用している。さらに、特殊光学系を最適化するオートチェンジャーも組み合わせて、サイズや形状が異なる複数のレンズに対応できる完全自動検査システムを開発している。レンズ検査を改革できるシステムとして提案する計画だ。
 目視検査は、目を酷使し、同じ製品を何十、何百と集中してチェックしなければならない。合否判定を間違えてはいけないといったストレスもある。OneShotBRDFは、こうした作業を一変させるポテンシャルを秘める。東芝情報システムと東芝研究開発センターは、平面から曲面へ、その先の三次元曲面に対応させる研究開発に取り組んでいる。OneShotBRDFの進化が待たれる。

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東芝情報システム株式会社

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No. 1251201201

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