注目企業・特集2026年3月号掲載
〜THKの製品&技術〜
「最先端の自働化」へ進化続ける
- IoT・AIソリューション、「次世代リニア搬送システム」などを国際ロボット展 2025でアピール
- THK(東京都港区芝浦2-12-10)
来場者でにぎわうTHKのブース機械要素部品の開発・製造・販売を手がけるTHKは、2025年12月3日~6日に東京ビッグサイトで開催された「国際ロボット展」に「最先端の自働化期待を超える革新への“動き”」をテーマに掲げ、ロボット産業を支える技術を多数披露した。来場者が詰めかけたブースでは、世界に先駆けて同社が開発した「LMガイド」をはじめとする直動システムなどの従来品だけでなく、次世代のロボットソリューションや製造業向けIoTサービス・AIソリューションなど、「自動化設備の導入による24時間生産体制の確立」を見据えた製品・技術が展示された。
「OMNIedge」と自社実証
20年に製造業向けIoTサービス「OMNIedge(オムニエッジ)」の展開を開始し、順調に導入実績を増やしてきた。生産現場のロス削減とOEE(設備総合効率)の最大化をコンセプトとするこのサービスは、直動・回転部品の異常と変化を知らせる「部品予兆検知AIソリューション」、切削工具の欠損・折損検知や摩耗度のモニタリングが可能な「工具監視AIソリューション」、“人財”スキルを一元化・可視化する「スキル管理AIソリューション」など、ハードウェアから通信環境まで簡単に導入できるIoTパッケージとして進化を続けてきた。23年には設備保全データを一元管理しセミオーダーメイドのような形で顧客に合わせてシステムを構築できる「メンテナンス統合管理システム」がシリーズに加わり、さらに25年7月にはセンサーを後付けするだけで製造ライン・設備単位の電力・水・ガスなどエネルギーの使用量をモニタリングできる「GXソリューション」が始まるなど、まさに製造業の現場を変革する総合プラットフォームとしての地位を確立しつつある。
FAソリューション部門を指揮する坂本卓哉常務執行役員によれば、このOMNIedgeの外販にあたり数年前から「自社で使い、悩みと成果を伝える」アプローチを重視するようになった。展示では国内工場全てに「スキル管理AIソリューション」を導入して技能伝承の断絶防止に役立てたり、山口工場では「GXソリューション」を活用することで工数・コスト削減や劣化設備特定につなげたりといった実績が紹介されていた。
「社内ではDXのDを“泥臭い”と表現している。デジタルトランスフォーメーションというよりは、実証したものをしっかりユーザーへ勧めていこうという意味」と坂本常務。展示で興味を持った顧客に対しては後日、自社工場見学などで詳細を説明する。
SMART FACTORYと「THK AIエージェント」
次世代SMART FACTORYへ向けた取り組みを発信THKでは現在、実績とノウハウを活かしIoTやAIなどの活用により業務改革や生産性・品質向上を図り、製品供給の安定化につなげる「SMART FACTORYプロジェクト」を推進している。その中から生まれつつある新たなサービスが「THK AIエージェント」だ。
工場には様々なデータが累積・点在している。従来は社員がExcelなどを用いた手作業分析をして時間損失が発生していた。この問題に対しTHK AIエージェントは膨大なデータを統合し、生成AIをベースにしたチャット機能により即時分析や改善策を立案することで解決を図る。故障頻度の高い設備の応答や原因分析もできる。人間関係による「忖度」がなく、データ主導で提案する。坂本常務は「AIは100%正解ではないため、最終判断は自社工場でも人が行っている」というが、意思決定支援ツールとして有用であることは間違いない。
現在同サービスは「自社工場で品質向上中」といい、26年には提供を予定している。言語対応については「日本語・英語は対応済み」だ。
実績積み重ねる「次世代リニア搬送システム」
展示ケース内で稼働する「次世代リニア搬送システム」24年登場の「次世代リニア搬送システム」はサイクルタイム向上が主要な導入理由として評価され供給は順調だ。モジュールで工程の足し引きが容易であり、ソフトウエアで搬送動作を全面管理できる柔軟性、行き戻り・分岐が可能な動作特性、上部に多軸・多関節ロボットを搭載可能かつ下部はモジュール変更に追随できる構造などが特長である。製造製品の切り替えに使い回しが可能で、システムの廃棄や塩漬けを避けられ、需要に応じ工程も増減できる。プロダクトライフサイクルの流れが短くなるなかで、製造機械の減価償却前に生産終了するケースが増加していることも同システムの販売が好調な要因だという。
AGVでもAMRでもない第3の誘導方式を持つ「SIGNASⓇ」20年に受注開始し「2023年度日本機械学会優秀製品賞」など数々の賞に輝いたフレキシブル次世代搬送ロボット「SIGNASⓇ」も来場者の注目を浴びた製品の一つだ。内蔵カメラで目印となる「サインポスト」を認識し、ルートテープレスでの誘導ができる。AGVの課題であったテープ剥がれへの対応やLiDAR搭載で高価になりがちであり、工場レイアウトの変化によって迷うこともあるAMRの課題を補完するまさに「第3の誘導方式」を持つ搬送ロボットとして評価を高めている。

