注目企業・特集2020年1月号掲載
~キトーの製品 & 技術~
MECT2019で披露したキトーの食品業界向けチェーンブロック
- 食の安全を守る、HACCP対応のホイスト機器を出展
- キトー(東京都新宿区西新宿2-4-1 新宿NSビル9F)
メカトロテックジャパンに出展したキトーのブース。
様々なホイスト関連機器が展示され、
多くの来場者から注目を集めた
工作機械の見本市『メカトロテックジャパン2019 (MECT2019)』が、10月23日~26日、名古屋のポートメッセなごや(名古屋市国際展示場)で開催された。その中でキトーは、食の安全に配慮したHACCP対応のチェーンブロックなどを出展。食品業界のみならず、幅広く集まった来場者でブースは一際にぎわった。
キトーは、チェーンブロックやロープホイストなどのホイスト機器を主力とするマテリアル・ハンドリング機器の総合メーカー。今回、キトーが市場投入したのは、 HACCP対応の電気チェーンブロックや、クリーンルーム仕様のスリングなど、食の安全に配慮したホイスト関連機器だ。安全衛生に優れた機器を提案することで、食品製造現場の作業効率アップに貢献する。
HACCP対応で安心な「キトーエクセルER2」
HACCPに対応した電気チェーン
ブロック「キトーエクセルER2」。
製造現場の要望に合わせて
カスタマイズが可能
2020年6月から改正食品衛生法案が施行され、食品衛生管理の国際基準であるHACCPに適応した衛生管理の義務化が始まる。HACCPとは、食品の衛生管理手順を見える化し、生産工程を管理する基準のこと。これまで日本では、HACCPを導入している食品製造業者は3割程度に過ぎなかった。
キトーが提案する食品製造業界向け「キトーエクセルER2」は、HACCPに対応した電気チェーンブロックだ。安全衛生面に配慮した材料を使用し、清潔性・安全性・保守性を備えた食品製造に最適な仕様を採用している。チ ェーンブロックの材料選択から、必要な機能の選定まで、製造現場の環境に合わせた仕様にカスタマイズが可能だ。
例えば、フックやレール、本体カバーなど、食品に触れる可能性のあるパーツには、錆や摩耗に強いステンレス鋼やニッケルコーティングで防錆・防塵処理を施して、異物混入を抑制できる。また、潤滑オイルはNSF-H1食品用オイル(巻上機減速機部)、食品用グリース(トロリ減速機部)を使用。また、ロードチェーンにはNSF-H1食品用スプレーグリスを使用しており、万が一、口に入っても人体に影響の少ない仕様となっている。さらに、荷が床に接触しないように任意の位置で停止できる機能(上下限任意位置停止)により、床からの汚れを防止できる。スイッチ部分に防塵カバーを施せば、手からの汚染を食い止めることも可能だ。
総合メーカーとしてキトーが培った技術を結集することで、食品製造のさまざまな現場に適した提案が可能となった。HACCPの要求を叶えたうえで、ホイスト機器の導入による作業効率アップが図れるようになるのだ。
錆に強い「SUSロードチェーン付キトーマイティ」
「SUSロードチェーン付キトー
マイティ」は防錆性能を大幅に
向上した手動チェーンブロック。
屋外でも使えて錆に強い
一方、「SUSロードチェーン付キトーマイティ」は、標準でステンレス製シタフックを装備し、大幅に防錆性能を向上した0.5t/1t用の手動チェーンブロック。錆をきらう水処理場や水産業界、食品関連、発電所などの特殊な環境のほか、厳しい清浄度を要求する医療現場などでの使用にも適す。電源設備のない屋内外の現場でも活躍し、各種設備のメンテナンスの際にも役立つ。錆に強く、異物混入リスクも低減できるうえ、必要に応じてグリースなどを食品機械用に変更できるため、食品業界でも安心して使える手動チェーンブロックと言える。
クリーンルーム仕様のスリングで高い清浄性
「クリーンルーム仕様キトー
ポリエスタースリング」は、
クリーンルーム内清浄度クラス1000
でも使用できる繊維スリング
ホイスト機器だけでなく、キトーでは安全衛生面に配慮し、食品、医薬品、医療現場など向けに適した関連製品も数多く提供している。「クリーンルーム仕様キトーポリエスタースリング」は、荷をしっかりと支える強靱さと、荷を傷めない柔軟さを兼ね備えるだけでなく、クリーンルーム内清浄度クラス1000でも使用できる繊維スリング。
製品の清浄性を保つために、クリーンクリーニングシステムを採用し、スリングに純水洗浄や異物混入検査など様々な工程を経た後、専用のクリーン袋に脱気包装して届けられる。柔軟なロープ状でエンドレスタイプのラウンドスリング(RE形)や、用途の広いベルトスリング(BSL形)など、用途や荷重によって選べる種類も豊富だ。クリーンルーム内でも安心してホイスト機器やスリングの使用が可能となる。
日本では高齢化や少子化に伴う人材不足を補うため、多くの工場においてホイスト機器の導入が広まりつつある。しかし、食品業界では、食品への異物混入リスクを最小限に抑えるという課題があり、これまでホイスト機器などの機械製品は敬遠される傾向があった。
今回、キトーが提案した製品は食品業界に根付く課題を解決し、安心して機器の導入が図れるようにするものだ。食品業界の生産性向上にも大きな助けとなるだろう。