製品情報
「新製品情報誌」2020年4月号掲載
資料請求No.1200410501
- その他
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情報の一元管理と製造現場の見える化で工場のIoT化に成功
企業フォーカスSpecial テクノア×コクネ製作
- 株式会社テクノア
- 岐阜県岐阜市本荘中ノ町8-8-1
生産管理システムやIoTソリューションを提供するテクノア(岐阜県岐阜市)は、中小製造業の生産性向上を図るため、様々な提案を行っている。部品加工業向けの生産管理システム「TECHS-BK」と、AI画像認識を利用した工場の見える化システム「A-Eyeカメラ」の導入により、生産性を向上させたコクネ製作(愛知県碧南市)。工場のIoT化を推進する成功例として、同社のケースを紹介する。システム導入でムダな作業を軽減
愛知県で鋳物部品の機械加工や組立、販売までを手掛けるコクネ製作は従業員70名の会社だ。グループを通じて、鋳物のオーダーから型手配、溶解、鋳造、加工、組立、納品まで一貫生産体制を敷いており、丈夫な鋳物の特性を活かしたうえで複雑な機械加工を施すことが可能だ。そのため、同社の鋳物加工製品は、半導体の製造装置や工作機械のマシニングセンタなどに用いられるパーツやフレームとして幅広く活用されており、精度の高い鋳物加工に定評がある。
鋳物に最新の加工を施してきた同社では「取引先の多様なニーズに応えるには、鋳物製品の加工で培った技術・知識の継承に努めつつ、温故知新の精神でものづくりの技術・知識にITを融合させることが必要であると感じていました」と製造部の宮島弘貴部長は語る。
そうした中で巡り合ったのがテクノアの部品加工業向けの生産管理システム「TECHS-BK」だった。「中小企業向けの生産管理パッケージを比較検討する中で、国内シェア率No.1のTECHS-BKに出会いました。パッケージとしてのまとまりは勿論ですが、昔ながらの管理・手法をないがしろにせず、1つ1つを丁寧に新たなフェーズへ進化させられる可能性を感じたのが導入の決め手でした」(宮島氏)。
「TECHS-BK」は、多品種少量型製造業向けに開発された中小企業のための生産管理システムである。バーコードを読み取るハンディ端末により、受注・発注・在庫・生産計画などのデータを取り込むことで、生産管理に必要なすべての情報を一元管理できる。事務処理の入力工数を削減し、受発注や進捗工程などの状況をいつでも誰でも確認することが可能となるため、「伝票の記載漏れや発注忘れなどがなくなり、状況確認のために担当者にその度に報告を求める手間や労力も大幅に軽減できました」と宮島氏はその成果を語る。状況把握には見える化が必要
同社が「TECHS-BK」を導入したのは5年ほど前のこと。導入により生産管理部門の事務作業の効率化に一定の成果を挙げた。ただ、製造現場への効果は限定的であった。「管理部門から、工程に則った作業指示が出される一方、実際の作業状況に沿わないものもあり、指示通りに作業がはかどらないことがありました」と宮島氏は語る。こうした状況を踏まえ、設備・機器の稼働状況の把握が必要、との結論に至ったが、様々なメーカーの機器が混在する中でこれらを把握するには、莫大な投資が必要となる。
こうした課題を解決したのが、昨年から導入されたAI画像認識を利用した工場の見える化システム「A-Eyeカメラ」だ。これは工場内の設備や機械の稼働監視ができるシステムである。クラウドを通じてWEBアプリで情報を共有するため、カメラとネットワークの環境さえあればパソコンやタブレット端末だけで簡単に始められ、設置の手間も少ない。カメラで撮影した画像から機械の稼働状況を判別するので、機械の新旧やメーカーを問わず、汎用性の高い稼働監視が可能だ。AIによるディープラーニングにより、さまざまな状況を学習するほど精度が向上するのも特長である。積層信号灯を監視して稼働を最適化
同社の工場内では10台近い大型の工作機械が横並びになっており、それぞれの機械は積層信号灯の点灯で稼働状況がわかるようになっていた。しかし「工場の端からは積層信号灯が見えないことも多く、機械が停止していても近寄るまで気付きにくい状況でした」(古久根氏)。
そこで同社では、「A-Eyeカメラ」を利用して工作機械の積層信号灯を監視し、リアルタイムで稼働状況を見える化。工作機械の稼働状況をパソコン画面やタブレット端末で可視化し、工場内の誰もがどこからでも状況把握できるようにした。また「A-Eyeカメラ」には、監視下にある機械の稼働やエラーを一画面で判別できる「リアルタイムあんどん表示」機能のほか、ガントチャートや稼働率推移グラフなどさまざまな可視化ツールも充実している。「あんどん表示による加工時間の『見える化』や自動集計をすることで、加工現場でもITに対して好印象を抱いてくれるようになり、現場とITの融合に取り組みやすくなりました。その中でも最も好評だったのは機械停止の予測が挙げられます」と古久根氏は言う。
同社では、鋳物に研削や穴あけなどを行う機械加工の途中で、何度も機械を止め、人の手による微調整を施す。そのため機械の稼働率も限られがちだが、その反面、この作業が同社の鋳物加工に高い精度を生み出している。
「TECHS-BK」による生産管理と、「A-Eyeカメラ」による工場内の見える化により、同社では生産管理と現場が上手く連携するようになった。加えて、工場全体を俯瞰して機械の力を最大限に活用できるようになった。だが、それだけでない。「人の力が足りないところに人手を集中させられ、今まで以上に人の力も活かせるようになった」と古久根氏は語る。機械だけでなく、人までも一層の活躍に役立てた同社は、まさにIoT導入の成功事例と言えるだろう。
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